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月草 鴨頭草
花色木綿はどんな色か、花色はピンクとか
赤を想像するが、藍染めの紺に近い色、
つまりブルー。
だがどうしてブルーを「ハナ」と呼んだか。
実は花色の「はな」とは花とは全く関係なく
「はなだ」という植物の名の変化したもの。
「はなだ」は「縹」と書き、露草の別名。
青い露草から作った染料で摺り染めにした色を
「はなだいろ」と呼ぶ。
花色に染めた木綿の布は、丈夫で色落ちせず
着物の裏地として使われた。
朝の花 ソノはかなきを見つめ、思いを寄せる人は
多いが、ツユクサの花のユニークさは午後にある。
花弁がドロドロに溶け、成分は吸収されて
次の花え回される。リサイクルの花なのである。
古名はつきくさ。青色で紙や布をつき染めた。
今も京都の友禅の下絵かきにつかわれる。
つきくさに衣ぞ染むる 君がため
いろどりごろも 摺らむと念ひて 7 1255
朝(あした)咲き 夕べは消(け)ぬる
鴨頭草(つきくさ)の 消ぬべき恋も 我はするかも
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古くは、青の染料として広く使われたようですが、馴染みのあ花、
別名もボウシバナやツキクサなど全部で37もある
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< 花おりおり >
オオボウシバナ
文・湯浅浩史 写真・鈴木庸夫
名は聞き慣れなくても、花の形はわかりやすい。
ツユクサの花の大きい栽培品で、目的は染料。
ツユクサはコンメリニンという青色色素を含み、
古くは「つき草」として花染めに使った。
ただ退色しやすく、『万葉集』に「うつろふ色」と詠まれる。
一方、友禅染の下絵に適し、加賀友禅に伝統が残る。
(2005年08月07日付朝日新聞朝刊)