DSCN6497秋の七草   

 

 

 

                   家内 河原撫子

 

 

大和撫子(ヤマトナデシコ)の異名で、河原撫子(カワラナデシコ)の異名である。     

 

撫子・石竹2<秋の七草>
撫子(なでしこ)は、はナデシコ目ナデシコ科ナデシコ属

  秋の野の花を詠む。                                    

   萩の花 尾花 葛花 なでしこの花 
       をみなへし また藤袴 朝顔の花 
    
   芽之花 乎花葛花 那麦志 又藤袴 朝皃之花
      (山上憶良 巻八・1538) 

   秋の野に 咲きたる花を 
       指(および)折り かき数ふれば 
             七種(くさ)の花 
芽之花 乎花葛花 瞿麦之花 姫部志 又藤袴 朝皃之花

      (山上憶良 巻八・1537)

 

調子の良い旋頭歌(せどうか)五七七五七七 、歌体のリズムにうまく乗せている。

秋の七草は、山上憶良の詠んだこの二首 後生に長く伝承される七草の選定は、
七夕の夜に供える七種の草花を撰んだことに由来する
朝顔の花→ききょう→むくげ→昼顔の説

そのあと薬用植物として輸入されたのが朝顔

 




北半球の温帯域を中心に約
300種が分布し、このうち「姫撫子」と「信濃撫子」は日本固有種(日本にのみ自生)で、他に日本には河原撫子と浜撫子が分布する。
これは、石竹(セキチク)を、古くは唐撫子(カラナデシコ)といったことに対するものである。
また、古くは常夏(とこなつ)とも言ったが、これは花期が夏から秋に渡ることに因む。
「撫でし子」と語意が通じることから、しばしば子どもや女性に喩えられた。
古く、『万葉集』に詠まれ、当時貴族に愛玩されたことが窺がえる。

「常夏」(とこなつ)は、『源氏物語』五十四帖の巻名のひとつで、第26帖の玉鬘十帖の第5帖。
光源氏と玉鬘が常夏の花・撫子を詠んだ和歌、「なでしこの 常夏かしき 色を見ば もとの垣根を 人や尋ねむ」に因む。

木http://members.tripod.com/yamabito2n/hanazukan_011230/hagi/hagi001014a.JPG

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はぎ(萩)
  宮城の萩 と違う
     指進(さしずみ)の 来栖(くるす)の小野の
       散らむ時にし 行きて手向けむ
        大伴旅人   巻6−970
  万葉集にて一番多く詠まれた。

 

 

 

 

 

 

 

矢作ススキ,縞ススキ
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ススキ(薄)イネ科 別名:オバナ(尾花),カヤ(萱)
 我が背子(せこ)は
  仮廬(かりいほ)作らす草(かや)なくば
     小松が下(もと)の草を刈らさぬ                  
               巻1 11 中皇命
              (ナカツスメラノミコト)
  人皆は萩を秋と言ふよし
      我は尾花が末(うれ)を秋とは言はむ              
               巻10 2110 
  中秋の名月にススキを飾る
  単なる風流ではなく、そこには古い農耕儀礼が
  底流しているとみられる。
  中秋の名月は芋名月とも呼ばれる。この芋は
  サトイモ。台湾のヤミ族はサトイモと同類の
  タロイモを水田で作り、儀式用に収穫すると
  その上にススキをさす。
  収穫の魔よけにするのである。

http://ja.wikipedia.org/upload/b/b4/Kuzu_flower.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

葛

 

 

クズ(葛)  マメ科  
 河原や野原で,他の木などにからみついて繁茂。
蔓は強靭で,民具を作るときの材料。
根からは葛澱粉(クズコ:葛粉)が採れる。
根はカッコン(葛根),漢方薬に使用(葛根湯)。

     真葛(まくず)原 なびく秋風 吹くごとに
        阿太(あだ)の大野の 萩の花散る
         作者未詳 巻10−2096
      阿太は吉野川沿いの地名 鵜飼いで有名  

 

 

 

 

 

撫子・石竹1,瓦ナデシコ
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ナデシコ(撫子)  ナデシコ科 石竹草(ナデシコ) 
 別名:ヤマトナデシコ(大和撫子),カワラナデシコ(河原撫子)
     なでしこは 秋さくものを 君が家の
        雪の巌(いわほ)に咲けりけるかも  
            巻19 4231 久米朝臣広縄
  
     野辺見れば 撫子の花の花咲にけり
        我が待つ秋は近づくらしも  
            巻8  1972
  大伴家持がもっとも愛した花である
  
     秋さらば 見つつ思(しの)へと 妹が植ゑるし
      屋前(やど)の石竹 咲きにけるかも
        大伴家持 巻3−464
  
  集中二十六首の撫子の歌があるが実に
  十一首が家持の歌である
  奈良朝以前の歌は一首もないほどに徹底して
  後期万葉に愛された花である

http://pds.exblog.jp/pds/1/200509/13/15/b0060115_6131591.jpgオミナエシ5

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オミナエシ(女郎花)  オミナエシ科  
     手に取れば 袖さえにほふ 女郎花
        この白露に 散らまく 惜(を)しむ
          作者未詳 巻10−2115
 オトコエシ(男郎花)もある。
 秋の七草というのに,ずいぶん早く咲くものだと驚く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

茶花 藤袴 1,藤袴1
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


フジバカマ(藤袴)  キク科 別名 蘭草 
 葉が三裂するのが特徴。不思議なことにこの花は集中
 憶良が七草に取り上げただけで前例もなければ、後に
 真似する者も居ない。にもかかわらず代表的な七種の
 中に加えたのは彼独特の趣向としか思えない。
 茎や葉が乾くと芳香を発する。
 蘭香(さわあららぎ)沢蘭(サワヒヨドリ)と間違えられる
    萩の花 尾花葛花 撫子の花
      女郎花 また藤袴 朝貌(あさがお)の花
          山上憶良  巻8−1538

 

 

 

 

紫桔梗虫食い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アサガオ(朝顔)  ヒルガオ科  
  ノアサガオ(野朝顔),ヒルガオ(昼顔)ヨルガオ(夜顔)
  万葉集にカオバナ(容花) 
  「和名抄」阿佐加保 キキョウ ヒルガオ 
  ムクゲ 夏露草 鏡草
  アサガオは(桔梗)万葉集に五首登場するが
  謎の花である 
  また薬用の輸入種

   朝顔は朝露負(お)いて 咲くといへど
      夕影にこそ 咲き増さりけれ
          巻10 2104 作者未詳


 古代中国では高価な薬で、牛と取り引きされたという。
 漢名の牽牛(ケンギュウ)は、それにちなむ。

 

 

 

 

 

 

 

 

inserted by FC2 system