コマユミ

真弓(まゆみ) ニシキギ科 落葉小高木

みこも刈る 信濃の真弓 我が引かば 貴人さびて いなと言はむかも

久米禅師 万葉集 2-96

みこも刈る 信濃の真弓 引かずして 強ひさるわざを 知ると言はなくに            花 5月下旬

石川郎女 万葉集 2-97

s-mayumi

写真
 

 

 

 

 

 

 

 

 


花おりおり >

文・湯浅浩史 写真・平野隆久

 

 

マユミではなく、ニシキギの品種。ニシキギは枝に薄い板状の翼ができるが、それを欠く。

分類上はニシキギの品種か変種に扱われるが、山地には翼が少ないか、ない型がふつうで、

そちらが原型であろう。『剪花翁伝(せんかおうでん)前編』(1847年)はニシキギを雄木、

矢羽根のない本品を雌木とする。果実は同様。

20051031日付朝日新聞朝刊)

 


 本種の分布は日本全国に及んでおり、古来より人々の生活に身近な樹木として利用されて来ました。

 枝がよくしなうので「弓」としての利用がこの名の由来とされます。
 春に緑白色の小さな花を付け、秋に淡紅色に熟し、四裂(しれつ)して橙赤色(とうせきしょく)の

広葉真弓愛宕真弓仮種皮(かりしゅひ)に包まれた種子が顔を出す様は、紅葉と共に美しく見栄のあるものです。万葉集には

 

 

                真弓の紅葉    

 

 

 

 

 


 南淵(みなみぶち)の 細山川に立つ檀(だん) 

弓束纏(ゆたばま)くまで 人に知られじ
と、美しい女性に例えて詠まれています。

 

また、材質の弓はの利用から、「張る」「引く」などの例えもありますが、王朝時代の詩歌・日記・物語

などには美しさが例えられています。
 野登山では自然の姿が見られ、初冬の果実の色合いもまた素晴らしいものです。

 

 栗・古代米・山葡萄(やまぶどう)・猿梨(さるなし)・犬枇杷(いぬびわ)・木通(あけび)などに加え、

団栗(どんぐり)や茸類(たけ)が顔を出しています。

秋の七草の色合いと、翡翠(かわせみ)などの野鳥の観察はゆっくりとした時の過ごし方が楽しめます。

来年は春の足音から始まり、早春の野草の開花、夏の水辺環境「小さい秋 見ーつけた」と秋の風情や、

動植物の冬籠(ふゆごもり)など周年を通じた自然の観察と体験を皆様にお勧めできます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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