と たまずさ→玉梓→玉章
カラスウリ【烏瓜】 タマズサ【玉章】
北国の冬は厳しく、川で大根を洗う母。
その手は、水の冷たさに、真っ赤になり大きくふくらんでシモヤケになっていたのを思い出す。
湯上がりに、カラスウリのべたべた粘りのある実を手に刷り込む姿が目に浮かぶ。
二度 野山を彩る。
夏の幻想的な花は、実を結び、秋鮮やかに熟す。
おいしそうだが、熟しても強烈に苦い。
ただ、少しは甘みもあり、鳥は食べる。
また、インドなどでは本属の別種の若い果実を野菜にする。
種子は奇妙で、カマキリの頭のような形、打ち出の小槌に似ていることから縁起物ともされ、
財布に入れるとご利益があるという。
昔は米俵に乗った大黒様や折り文に見立てた。天花粉(天瓜粉) 花言葉 男嫌い
文・湯浅浩史 写真・平野隆久
< 花おりおり >
(2005年11月23日付朝日新聞朝刊)
玉章(たまずさ)とは,縦に隆起した帯がある種子を結び文(折り文)にたとえた.
つれづれなるままに、日ぐらし、一片(ひとひら)の紙もて、
心にうつりゆくよしなしごとを象(かたど)れば、
さまざまな形あらわれ、風に流るる雲のごと移り変わりゆく
あやしうこそものぐるほしけれ
多年生草本.合弁花.つる性.
雌雄異株.根は常に束状に分枝し紡錘状に太くなる.
葉は卵心形〜腎心形で5裂する.
雄花序は2-10cmで,
雌花は萼筒は6cm程度葉液から出る.
花は日が暮れてから開き,
夜明け前に閉じる.
折り文 http--www.daimachi-k.jp-tukuru.html
お香 雁来香 香組 テキストより
秋風にはつかりが音(ね)ぞ聞こゆなる
誰(た)が玉章(たまづさ)を
かけて来(き)つらむ 古今和歌集・ 記 友則
(玉章→手紙)
(秋風に送られて初雁の声が聞こえてくる、誰からの手紙をたずさえてきたのだろうか)
たまずさ→玉梓→玉章 手紙のこと
ギョクショウ とも読む
「たまづさ」は玉梓(たまあずさ)の縮約形
雁に手紙を託すことは、凶奴→きょうど にとらえられた前漢の蘇武の故事による。
平家物語 掛け物 へ
漢家の蘇武は、書を雁の翼につけて舊里(故郷)へ送り、 →上段(黒):原文・現代語に 直訳
かんけのそ婦ハ、書を加利の徒バさにつけてきうへ里へ送り → 中段(赤):原文
漢の蘇武は、手紙を雁の翼につけて故郷へ送り、 → 下段(青):現代文
平家物語 巻第二 蘇武より