蓮 ハス はちす
ハチの巣転じてはちす
珍種を含めて50種ほどある。
大賀ハス
三千年前の中国の「詩経」には
ハスを尊ぶ詩が詠まれ、
日本でも大賀博士が二千年前の
種から花を咲かせて話題になった。
さわさわと はちすをゆする 池の亀 鬼貫
夜明けとともに咲き始め、午後には閉じるハスは神秘的な魅力を持つ。
万葉歌にも詠まれ、仏教との係わりも深く仏の台座にも見たてられている。
万葉集には4首に登場します。
勝間田の池は我知る蓮なし
然シカ言ふ君が髭無き如し
婦人 巻十六 3835
勝間田の池には私の知る限り美しい蓮などありません。そういうことを言うあなたに髭が生えていないように。
スイレン科、熱帯産、多年草の水生植物で、花托(花の中心部:実がなる)が蜂の巣の形に似ていることから、
「はちす」と呼ばれてきた。また、仏教との関わりもあり、その巨大な花は極楽浄土に咲くとされ、
そのイメージは仏像の台座に使われてもいる。
第16巻
: ひさかたの、雨も降らぬか、
蓮葉(はちすば)に、
溜(た)まれる水の、
玉に似たる見む
作者: 不明
ハスは中国では仏教が伝わる
以前から栽培され、生活に
密着していた。
根はレンコンとして食用に、
葉は器に使われ、種子も食用に
されていた。
ハスは古代インドでは多産や
生命誕生の象徴とされていたが、
仏教の出現
とともに、泥中から清純な花を
咲かせるハスは極楽浄土に
見立てられ、仏教と
強く結びつく。花を愛でる花ハスは
元禄年間に中国より伝わり、
当時の花卉
育種の流行にのって、わずか
100年の間に多数の品種ができた。
大和農園 05年度7月カレンダーより ↓
左右からしっかりと巻合っている春先の若葉が「蓮の巻葉」
やがてその葉が丸く開いて水面に浮かぶのが「蓮の浮き葉」
其れがぐんぐん伸びて夏には「蓮の立葉」になり
秋が過ぎ、冬が近づくと「破蓮」になり
黒ずんで「枯れ蓮」と時々の美しさを見せてくれる
蓮の生け花は、蕾を未来
開花を現在
実は過去を表す
お盆が近くなると亡き人が偲ばれる
追善のお茶は亡き人への何よりの供養。
「南方録」覚え書きに「茶を点てて、佛にそなへ、人へにもほどこし、我も飲む、花を立て香を焚き
皆々仏祖のおこなひの後を学ぶなり」
暑い夏がめぐり来るたびに、御仏になった人のおもかげが横切る。
祖父母の、両親の、又愛おしい人や親しかった人のおりおりの声や後ろ姿、仕草などが懐かしく思い出される。
年々薄れていくおもかげをたぐり寄せて、今は亡い人との静かな語らいのひとときを持つのもお盆の月ならでは。
盆花は蓮の花やほおずきを初め、地方によって様々だが、盆の頃に花を付ける草花を手向ける。
又故人が好きだった花を捧げたいものだ。
小堀遠州の命名で、過ぎ去った年月を思い合わせ、
古今和歌集 春道 列樹 ハルミチノツラキ
昨日といひ けふとくらして あすが川 流れてはやき 月日なりけり
花人の花 川瀬敏郎
茶の湯Design PEN no190
枯れ蓮の葉と寒牡丹