茅萱(チガヤ・ツバナ・ズバナ)
チガヤ 茅 「浅茅」 「茅草」別名:ツバナ「津花」 (摘花菜;茅花)
「ちがや」は「ち」とも云い、「茅」と書く。
古典文学の中では、「浅茅(あさぢ)」という語も使われる。
(浅茅はチガヤの文学的な表現と考えていいように思う。
地方によっては「ズバナ」、「茅萱(チガヤ)」。
若い花穂は「茅花(ツバナ)」と呼ぶ、「ズバナ」は「ツバナ」がなまった呼び名。
春の、まだ苞?に包まれた白く光沢のあるやわらかい穂、春、茎を開いて、
まだ外に出ていない穂を抜き取って、口に入れて噛む。うす甘い味。
寒くなると赤く色づく、イネ科の多年草。
紀女郎(きののいらつめ)が大伴家持に送った歌に
戯奴(わけ)がため
手もすまに春の野に
抜ける茅花(つばな)ぞ
食(め)して肥えませ
紀郎女
「こら、下僕の家持よ、おまえのためにこのアタシが、手を休めずに摘んでやった茅花であるぞ。
ぜひお召し上がりになって、お太りなさいまし
わが君に
戯奴(わけ)は恋ふらし
賜りたる茅花(つばな)を
食(は)めどいや痩せに痩す
大伴家持
「この奴めは、ご主人様に恋いこがれているとみえ、せっかくの茅花を食べても、ますます痩せるばかりでだ」
ススキを貧相にしたような細い植物。春に白い穂をつけ。
万葉の昔から4月〜5月ごろの ツバナ(花芽)を食べていた。