椿 のりこぼし

草紙洗い 墨流し    注・写真の椿は名前を調べ中

写真は実生より育てたため雑種らしく同じ枝から縦模様と糊を零したようなものが咲く。

河上乃 列々椿 都良々々尓 雖見安可受 巨勢能春野者

河上の(川の上の) つらつら(連なり)椿

つらつらに 見れども飽かず( つらつら見ても飽きることがない)

巨勢(コゼ又はコセ)の春野は

万葉集 巻一 五六 春日蔵首老

「川辺に咲く椿をいくら見ても飽かないほど巨勢野の春は美しいものだ」と、

野生ツバキが当時から美しい草木と認識されていたことが偲ばれる

万葉集には椿を織り込んだ歌が9首あり。

万葉集の漢字使いは

都婆伎、都婆吉 又、海石榴、海石榴市「つばいち」とも、漢字の音、訓のどちらで

読んでもつばきとするのは困難。

これは万葉仮名ではなく、ツバキを意味する漢名、

すなわち唐代のツバキに対する呼称と考えねばならない。

 

足病之 山海石榴開 八峯越 鹿待君之 伊波比嬬可聞

あしひきの山つばき咲く

    八つ峰(お)越え鹿(しし)待つ

    君が齋ひ妻(いわひづま)
                              巻六 一二六二 詠人不詳

椿は何十種類も我が庭や畑の風よけ(いぐね)に数十種植えている。

是すべて、在職中に、営業で種を拾い集め植え育てたのである。

10年から20年かかってやっと花を咲かせてくれた思い出の椿。

そんな中に、この白の中に赤の筋 また、白の花びらの中に赤が3分の1ほどの

美しい椿が今年(09年)初めて 花をつけて驚かしてくれた。

香道の稽古が(椿)の証歌がテーマ

庭の椿を写生 それを、時間をかけ二輪であるが 

大きな 椿の和菓子で作りあげる。

この二輪で 約10人分の量はある。3時間半の大作 しかし 席では、

 床の花を下げて なんとこの大きな和菓子の椿が置かれるありがたい席となった。

写真は、和菓子の作成に当たり デザイン画と出来上がった和菓子である。

DSCN9458

 

DSCN9453DSCN9451

 

草紙洗い 墨流し   

京都はツバキの名所。各寺院に伝えられた銘品が少なくない。

「妙蓮寺椿」もその一つで、洛中の妙蓮寺の塔頭(たっちゅう)、玉竜院に

江戸時代から栽培されていた。

残念ながら火事で、淡紅色の花の原木は枯死。

現在、紅花の紅妙蓮寺が普及する。

 

mix椿                       DSCN9447

草紙洗い

冬はなの乏しかった昔、椿はどれだけ明るさを与えてくれただろうか。

趣をこらした名にその一端に伺える

「草紙洗い」は謡曲で知られるように小野小町が大伴黒主に古歌の盗作と苦言され、

黒主の証拠の草紙を水で洗い落ちた墨から

偽物と見破る伝承に、花の絣模様を結びつけた。(下記に詳しく記す)

花おりおり >

紅妙蓮寺

文・湯浅浩史 写真・茂木透

20060227日付朝日新聞朝刊)

 

「草紙洗い」は、小野小町と大友黒主(大伴黒主、おおともの・くろぬし)に

まつわる逸話として演じられる能のひとつ。

ふたりは平安時代前期の歌人、ともに「六歌仙」(和歌の名人)の一人。

「世界大百科事典」によると、「草紙洗い」は能の曲名。作者不明。

シテ(主役)が小野小町で、ワキ(脇役)は大友黒主。

宮中の歌合(和歌の競技)で小野小町の相手と決まった大伴黒主は、前日

小町の邸に忍び込び、小町が和歌を詠じているのを盗み聞き。

当日、紀貫之らが列席勝負が始まり小町の歌は絶賛されたが、黒主が

「その歌は古歌である」と訴え、証拠に同じ歌が書かれている万葉集の草紙(本)を突き付ける。

 

自宅紅白椿DSCN9445

 

 

よく見ると墨色がおかしい、小町が勅許を得て水を入念に注ぎかけ、草紙を洗うと、

はたして入れ筆で、その歌の文字だけが流れて消えてしまう。

それは小町の創作を盗み聞きした黒主が、万葉集の草紙に書き込んだものだったので、

面目を失った黒主は恥じ入り自害をはかりますが、小町の取りなしで事なく済み、

人々の勧めで小町が和解の徳を讃え、祝う舞

「中ノ舞(ちゅうのまい)」を舞い、めでたく席が閉じられるという王朝絵巻風な能。

上記写真の「ツバキ」は、赤い花弁(はなびら)に白くかすり模様の紋入りをしており、

この模様が伝承「草紙洗い」の墨流しに、似ていることから椿の一品種として「草紙洗い」

と名付けられた。

なんとも意味深くて趣のある名称。

 

白赤椿

 

糊こぼし のりこぼし

 

また、似た椿に のりこぼし(糊こぼし) 良弁椿(ろうべん椿)がある。

東大寺二月堂のお水取りの行事に供えする造花の原型で糊をこぼした斑点模様がある

 

椿群衆

 

米沢の伊達政宗のもとに三春城主田村氏の娘 愛姫(めごひめ) が小坂峠を越えて嫁いだ

ことから、「愛姫 :めごひめ: 街道」とも呼ばれる。

福島を通り過ぎ宮城・、白石市に入った田んぼの中の椿の大木。

 

 

http://www2.odn.ne.jp/~had26900/topics_&_items2/on-tsubaki.htm  

生薬・薬用植物  (帝京大学薬学部)のページより

 

http://homepage2.nifty.com/t-nakajima/hyoushi.htm  紙への道より

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