七宝 しちほう

名前の通り七つの宝物を指す

時代や地方などの違いで幾つかの説があるようだが、数は七つ

七福神など縁起物の数字で変わることはない。

  仏教でいう七つの宝は般若経によると金、銀、瑠璃(るり)、

  瑪瑙(めのう)、しゃこ、琥珀(こはく)、珊瑚(さんご)の七種

  「無量寿経」では、金・銀・瑠璃(るり)・玻璃(はり)・シャコ・

  瑪瑙(めのう)・珊瑚(さんご)

  「法華経」では、無量寿経から玻璃(はり)・珊瑚(さんご)を除き真珠・

  マイ瑰(まいかい)を加えたもの

工芸で金属に焼き付けて製作する七宝焼(しっぽうや)きがあるが、

人工的に七宝を作ろうとしたことからこの名がついたとも云われている。

(錬金術)

    ■   金   ■

 金属の王様 説明は不要

 随一の貴金属とされ、貨幣・装飾品として用いられる。

    ■   銀   ■

 金に次ぐ貴金属とされ、装飾品・貨幣として用いられる

    ■ 瑠璃(るり )

 ガラスの古名で、光沢のある青い宝石「ラピスラズリ」青金石とも呼ばれ、

 古代エジプトの時代から珍重されてきた

 色の名前としても使われ、日本画の岩絵の具の瑠璃色のこと

    ■ 玻璃(はり)■

 ガラスを意味する言葉で「頗梨」とも書き、水晶のことを指す

    ■  真珠   ■

真珠貝がつくりだす宝石

 真珠貝とは真珠を作る貝で,あこや貝・白蝶貝(南洋真珠)などがある

           しゃこ   ■

  しゃこ貝の略。最も大型な二枚貝(2b近いものもある)

  その殻は厚く、純白で光沢があり

  ヨーロッパでは教会の聖盤として用いられ、絵画にも見られる

        ■珊瑚(さんご)■

  南の海で、沢山のさんご虫が樹木のような群体をつくり死ぬと

 その骨格だけが残り、これが珊瑚

        ■瑪瑙(めのう)■

  縞状に模様がある鉱石で、縞の色は白・赤・緑・紫などがある

 この縞模様で価値が決まり飾り石として用いられる

 石英の微細結晶の集合体で大変に硬質

       ■マイ瑰(カイ)■

  バラ科の落葉低木で、ハマナスの一種

 中国では花は薬用として、お茶の香り付けにする

 

   ★ 宝 尽 く し ★

宝尽くし文は、中國よりもたされた吉祥文様です。

宝尽くし文の始まりは宋代に溯(さかのぼ)り、明代には、仏教的な

八宝文様(法螺ホラ・法輪ホウリン・宝傘ホウサン・白盖ビャクガイ・

蓮華・宝瓶・金魚・盤長)とあいまって、さまざまな宝が選ばれ、

意匠化された。

唐様の八宝は、宝珠・方勝・(勝運を象徴する)・犀角杯サイカクハイ

(毒を感知する)・書巻や書画・磬ケイ(吉慶をもたらす楽器)・銭・

艾葉カイヨウ→蓬(病を防止)・霊芝・分銅や鍵などで構成され、組み

合わせを変えて様々に表されている.

 これが日本に伝わると、銭は七宝に、犀角杯は丁字に置き換えられたり

隠れ蓑や笠、打出の小槌、宝袋(巾着)など、独自の宝が取り込まれた。

さらに、ここに松竹梅、鶴亀が加わって日本の宝尽くし文が定着した。

  ■打ち出の小槌(うちでのこづち)■   

願い事をしながら振ると、その願いが叶うと伝えられる小槌

七福神でお馴染みの大黒様が抱えている持ち物

敵を討つ と縁起を担いで家紋にも用いられている

(一寸法師が大きくなる願いをかなえてくれた打ち出の小槌。)

  ■丁子ちょうじ■

丁子は南洋の果物 料理の香辛料としてもポピュラーなクローブの日本名

アジアのマライ群島に属するモルッカ島原産の常緑喬木で、花は淡紅色で香が高い。

花後に長楕円状の果実となる。その蕾の時に乾燥したものを「丁香」といい、

食品の香料として、医薬品としても用いられる。

平安初期に輸入 珍重され、その芳香と希少価値とから文様化し宝尽しの

一つに加えられた。

 ■隠れ笠 かくれがさ■ 

この笠を被ると姿が見えなくなると云われ

隠れ蓑とともに「保元物語」に記述がみられる

  ■隠れ蓑 かくれみの■

 隠れ笠と同様に、この蓑(みの)を着ると、姿が見えなくなると云われる

  ■宝やく(鍵)宝鑰■

徳とか保護を表す鍵

家紋として、旗本の土肥家が用いており「丸に鍵・房付き鍵・違い鍵」

「鍵の手に曲がる」などと言葉だけは残っている

宝物を仕舞って在る蔵の大事な鍵

  ■ 宝巻・巻物 ■

 知恵を授けてくれるもの。

  ■ 宝珠ほうじゅ ■

現在でも、寺院の屋根、橋の欄干、お地蔵さんの手の上などで見ることができる。

あの玉ねぎ状のもので葱坊主から取り入れられた

火焔が立ち昇っている姿が正しい

金銀財宝が望むまま出すことが出来ると云われる不思議な珠

「如意宝珠」とも呼ばれ、密教の法具とされている

地蔵菩薩は左手に宝珠を持すと経軌に記されている

家紋として「一つ玉・焔玉・稲荷玉・一筆玉・光琳玉」などがあり、

能狂言の紋にも用いられた。

  ■金嚢きんのう宝袋ほうたい■ 

金嚢は巾着(きんちゃく)を指し巾着文・金貨文・袋文とも云われます

巾着は銭貨・お守り・香料などを入れるものであり昔から大切にされてきた

家紋の文様として用いられ「二つ袋・三つ袋・角袋・丸袋」がある

  

   ■分銅 ふんどう■

分銅は秤(はかり)の基準であるので大事に尊ばれた

この分銅の形に金銀を鋳造していざと言う時、お金に替えた

  ■和とじの本■

  ■ 輪 違 ■

平安時代頃から使われている七宝の原型で、連結を表している

  ■ 方 勝 ■

中国では八方の一つで首飾り。

菱形が二つ結ばれている。

  ■ 如 意 ■

本来は仏具。自分お手のごとく意のままに使えるという意味から、

人生を意のごとく自由に過ごすという願いが託されたもの

如意棒の頭には霊芝(長寿のキノコ)、又それをかたどった霊芝雲

が付され、それによって如意を暗示することもある。

                            参考文献

                             文様 暮らしの美と心   朝日新聞社 日曜版

                             キモノ文様事典      藤原 久勝 淡交社

                             なごみ 2001/1月号       淡交社

                              四季の暮らし 美しい朝夕       講談社

           日本の美術の言葉案内   日高  薫 小学館

           裏 流 点 前      末  宗廣 晃文社

           宮城県百科事典           河北新報




 




  

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