夜中のラジオで、HPに載せたばかりの万葉集第1巻第1番目の長歌
これを元に、長年続いている、森繁久弥と加藤道子の

「日曜名作座 菜摘ます児」    06年716日(日)

思わず目がさえ、聞き入ってしまう
長歌が、今一 理解しかねていたが、作者が上手く、

2人の人物像を万葉集の
長歌に取り入れて、ストーリーを展開やっと理解できた。

 図書館で借り入れ、読みはじめる
ラジオと違って、想像できる物語   

手元にほしく、この本を買ってしまう                    

万葉集の巻頭第一番目を飾る歌。  雪の中の蕗の薹 ↑

春の野遊び、若菜を摘んでその新しい生命力を得ることで繁栄を託す行事だが、乙女に一目ぼれ。

名を聞き、自分の身分も打ち明け求婚の歌。

 

 

「菜摘ます児」小説は、万葉集の菜摘み乙女の歌に題材をとった、ファンタジックで

ちょっと切ない話。

権力者の威光を笠に着た者への壮絶な出来事により運命を変えられた庶民の

娘の悲喜劇といい得るだろう。葛西のお狩り場に近いとおり筋で、ささやかな茶店を営むお花の元へ、

狩りの最中、突然、鷹狩りの帰途、にわかに腹痛を

起こした将軍家治が厠を借りにやってきた。

発端の突発事態が人生を狂わしてしまう。

厠と白湯の礼に小判三枚と、奉書にしたためた「お花茶屋」の

四文字を下された。

おかげで、お花の店は大繁盛。その降ってわいた幸運が、逆に悲運に一変する。

お花に将軍のお手が就いたと、心のない周囲の噂のために、許嫁に去られた

ばかりか、その後の縁談も統べてこなくなる。

7.8年後、再び、将軍が狩り場に来た噂に、お花は、その狩り場に、将軍の

おかげで、「人生が狂ってしまった」と報告しようと、行くも、すぐ取り押さえ

られ、お狩り場の禁止柵より追い出されてしまう。

気が触れた無礼者と言われながらも「将軍様が、私の体のどこにも、

お手が就いていないと証明してほしい」                       ワラビ ↑

と絶叫にちかい泣きしゃべりを

喉いっぱいあふれさせて、訴える。

ぬれぎぬは、こんりんざいはらせない 無念に突き上げられ死んでしまおう、

そう決意することで、いっそう、狂ったように、泣き叫ぶ、お花 悲しみが擬

古した。

泣くだけ泣いて少し興奮が収まったとき、後ろから、肩を抱かれ

「さ、もうよかろ」と寺に厄介になっている旅の者が、宗匠のような人物より声をかけられる。

冬の蝉お花茶屋の由来を住職より聞き、かねがね気の毒に思っていたのだ。

 

「偉い人の気まぐれに翻弄され、一生を台無しにした者は

お花一人ではない」 こんな、哀れな人も居るぞ。

ゆっくり、老人は口ずさんだ

 

「篭(こ)もよ み篭(こ)持ち ふくしもよ みぶくし持ち 

この岡に 菜摘ます児 家聞かな 名告らさね」。

「そらみつ 大和の国は おしなべて 我こそ居れ しきなべて 

我こそいませ 我こそば 告らめ 家をも名をも」

 

帝王から、このような言葉をかけられた乙女は

求婚されたと思いこみ、今日か明日かと待ちわびる乙女。           杉本苑子自選短篇集 ↑

帝王はその言葉は、すっかり忘れさり、それっきり十数年が過ぎ「八十の老婆になった娘は

宮中へ出かけ待ちぼうけの苦しさを言上した。

今更ながら、みかどは慚愧(ざんき)して、娘に(老婆)わびたけれど失った貴重な「時」が、

もはや取り戻せるものではない。

「あわれな、はなしじゃな」と老人は言葉をつぶやく。

将軍の偉大な力で否応なく運命を変えられ、音もなく降り積む歳月を背に受けて、その背が、

かがむまでひとり、老い続けなければならない菜摘み乙女。

自分と同じ境遇 老婆の話を聞き、涙もかれ、静かに、あきらめ、茶屋に戻るお花であった。

 


以上 「菜摘ます児 杉本苑子自選短篇集」と解説 山村正夫 より

 

爾今翁 様

 

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早速ですが、お問い合わせの件についてご連絡いたします。

 

716日(日)放送「日曜名作座 菜摘ます児」の              ザルに摘んだワラビ

原作につきましては、以下のとおりです。

 


 「菜摘ます児 杉本苑子自選短篇集」

 杉本苑子 著

 出版社:学芸書林

 

以上、参考になさってください。

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お便りありがとうございました。

 

NHK視聴者コールセンター                     NHK「蝉しぐれ」撮影野外セット

 

 

 

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